海外投資 investing abroad 2003 8 18
インドネシアへの投資を考える時に、
政情や経済の不安定、テロの危険を考えておく必要があります。
リスク管理は、重要です。
しかし、インドネシアの人口が、2億人であることを考えれば、
いつまでも、リスクがあると言ってはいられない状況です。
宗教は、人口の87%がイスラム教です。
インドネシアは、世界最大のイスラム人口を有します。
こういう状況ですので、
イスラム教やイスラム文化をよく理解しておくことが重要です。
日本には、イスラム教の本や、イスラム文化の本が少ない状況です。
さらに、イスラム諸国の観光ガイドブックがないという状況です。
しかも、残念なことに、日本では、宗教に関する教育が貧困でした。
これは、特定の宗教を教えることではなく、
世界に、どのような宗教があって、
宗教が、どのように文化や生活に影響しているかを教えることです。
こういう視点が、日本の教育に不足していた点です。
日本人が、国内だけで海外には行かないならば、
こういう視点は必要なかったのですが、
現在では、日本は、貿易国家で国際国家です。
日本の教育者には、全く、こうした国際的な視点やビジョンが欠けていたと言えます。
外国の文化や生活習慣は、宗教と密接に結びついて発達してきたので、
外国に行く時は、宗教を、ある程度、知っておく必要があります。
たとえば、ヨーロッパの美術館に行った時、
宗教画が多いでしょうが、
おそらく、日本人は、キリスト教の知識がないので、よく理解できないでしょう。
キリスト教の知識があれば、
名画にも、宗教的には重要なことが描かれていることに、すぐ気がつきます。
よく名画の解説書がありますが、だいたい表面的な理解に止まっています。
ともかく、イスラム世界に進出するには、
イスラム教やイスラム文化をよく理解しておくことが必要です。
Qイスラム教とは、過激な宗教か。
A違います。
一般的なイスラム教徒と、イスラム過激派とは、別に考える必要があります。
日本でも、昔は、僧侶が武装し、戦国武将が困ってしまった時期もあるでしょう。
一般的なイスラム教徒は、素朴です。
そもそも、イスラム教は寛容な宗教です。
異教徒には、イスラム教を強制しません。
基本的に伝道活動には熱心ではありません。
あえて宣教活動はしないということです。
イスラム教を信仰したいならば、受け入れるというスタンスです。
しかし、それでも、イスラム教徒は、全世界で、14億人と推定されます。
今後も、さらに増えると予想されます。
こうした事実を、なぜなのかを、よく研究する必要があります。
確かに、イスラム教徒の一部には、過激派がいます。
しかし、一部をもって、全部を定義しては、誤りになります。
最近の日本でも、宗教と称して、過激なテロを行なった宗教団体があるでしょう。
ひとつ悪いものがあると、全部悪いと考えるのは、短絡的です。
混沌としたものの中から、価値あるものを発見する。
これが、知識人としての態度です。
ひとつ悪いものがあると、全部悪いと考えるのは、凡人の証です。
世界には、数多くの宗教があります。
この時、どうするか。
違う部分を探すのではなく、共通する部分を探す。
これが、大人の態度です。
Qイスラム教は、慈善事業をしないのか。
A違います。
イスラム教には、喜捨(ザカート)という教えがあります。
「富める者は、常に貧しい者を助けよ」という教えです。
しかし、指導者のなかには、この教えが、形骸化しているかもしれません。
民衆レベルでは、今でも、この教えは生きています。
さて、昔は、日本でも、似たようなことがありました。
前から思っていたことですが、
聖徳太子の肖像画と、一部のイスラム教の宗教画が、よく似ているのです。
今では、日本の絵は、西洋化されて、大きく変ってしまいました。